レバーの焼き鳥、うなぎのかば焼き、ゆで卵、にんじんの炒め物、ほうれん草のごま和えが並ぶ食卓の水彩イラスト

ビタミンAは、あまり注目されていない栄養素です。

でも実は…
「世界三大欠乏栄養素」のひとつに数えられています。

世界で特に足りていない栄養素として、WHO(世界保健機関)などが挙げている3つ。

  • 鉄
  • ヨウ素
  • ビタミンA

それくらい、足りていない人が多い栄養素なんです。

日本も、例外ではありません。
国民健康・栄養調査(2015年)を分析した研究では…
18〜64歳の男性の6〜7割、女性の5〜6割が、ビタミンAの必要量に届いていませんでした。
(ここでの必要量は「推定平均必要量」。半数の人が足りなくなる量です)

ビタミンAが足りないと

ビタミンAが足りないと、たとえばこんなことが起きてきます。

  • 夜盲症(やもうしょう・暗いところで見えにくくなる)
  • 目の乾燥
  • 皮膚の乾燥
  • 免疫力の低下
  • 子どもの成長の遅れ

ビタミンAの3つの働き

ビタミンAの働きは、大きく分けると3つです。

  • ①目を整える
  • ②粘膜と粘液を整える
  • ③細胞の分化を支える
ビタミンAの3つの働き:目を整える、粘膜と粘液を整える、細胞を仕上げる(分化)

ひとつずつ見ていきます。

1. 目を整える

ビタミンAが足りないと、まず目の働きが落ちてきます。
暗いところで、目が見えにくくなる。
これが夜盲症です。

  • 夜の運転が怖い
  • 暗さに目が慣れるまで、時間がかかる

こうなってきたら…
ビタミンA不足を、少し疑ってもいいかもしれません。

2. 粘膜と粘液を整える

ビタミンAは、うるおいを作るのにも欠かせません。

鼻やのど、胃や腸の内側は、粘膜(ねんまく)で覆われています。
粘膜から出る粘液が、表面をうるおして、菌やウイルスを受け止めている。

なので、ビタミンAが足りないと…
肌や目が乾燥しやすくなります。
粘膜と粘液も弱くなるので、風邪をひきやすくなる。

3. 細胞の分化を支える

生まれたばかりの細胞は、まだ何の細胞でもありません。
それを「肌の細胞」「粘膜の細胞」に仕上げていくことを、分化(ぶんか)と呼びます。
この仕上げを支えているのが、ビタミンAです。

子どもの成長も、この分化に支えられています。

僕は、分化がうまくいかないと、イボや魚の目ができやすくなると考えています。

相談で、魚の目ができやすい方に、レバーを週に1回食べてみてはどうですかとお勧めすることがあります。
その結果、魚の目が治った方が、これまでに5人ほどいます。

研究で確かめられた話ではありませんが…
魚の目でお困りの方は、ビタミンAを意識した食事を試してみてください。

ビタミンAは、何に入っているか

ビタミンAは、少し意識しないと、食事では足りないことが結構あります。
では、どんな食材に入っているのでしょうか。

植物性:緑黄色野菜のβカロテン

植物性では、野菜に入っているβカロテンです。
緑黄色野菜と呼ばれるものに多く入っています。

  • にんじん
  • かぼちゃ
  • 緑の濃い野菜

ただ、βカロテンは、体の中でビタミンAに変えてから使われます。
この変える力には、個人差があります。

上手に変えられる人もいれば、あまり上手じゃない人もいる。
お酒が得意な人と苦手な人がいるのと同じで、遺伝子の違いによるものです。

なので、野菜のβカロテンでビタミンAを満たせるかどうかは、人それぞれ。
確実ではない、ということなんですね。

βカロテンは、油と一緒に食べると吸収がよくなります。
少しの油で十分です。

  • 油で炒める
  • ドレッシングをかける

ぜひ、油と一緒に摂ってみてください。

ただ、野菜のβカロテンだけでは、ビタミンAが足りないこともあります。
動物性のビタミンAも、ぜひ摂るようにしましょう。

動物性:レバー・うなぎ・卵

動物は、ビタミンAを肝臓にためています。
なので、肝臓を食べると、ビタミンAを一気にたくさん摂ることができます。

  • レバー(鶏・豚)
  • うなぎ
  • 卵

卵も、そこそこ入っています。
1個で、1日に要る量の7分の1ほど。

レバーなら、週に1回、焼き鳥1本分ほど食べれば十分です。
レバーが食べられる方は、ぜひ週に1回ほど食べてみてください。

我が家では、週に1回から2週に1回くらい、レバーのお惣菜を買ってきます。

逆に、レバーを週に5回も6回も食べると、ビタミンAのとりすぎになります。
目安は、週に1回、80gくらいまでです。

妊娠中や妊娠を考えている方は、動物性のビタミンAのとりすぎに気をつけたいので、医師と相談してください。

野菜のβカロテンは油と一緒に。体の中でビタミンAに変える力は人それぞれ。動物性のビタミンAはそのまま使える

最後に

ビタミンAが足りなくても、ものすごく困るとか、元気がなくなるということはありません。
でも、足りないと…
うるおいが足りなくなったり、目の見え方に支障が出たりします。

あまり注目されていないけれど、大事な栄養素です。

  • レバーを週に1回食べる
  • 難しい方は、緑黄色野菜を油と一緒に食べる
  • 卵を1日1個食べる(それだけで1日に要る量の7分の1)

ぜひ、やってみてください。

ビタミンAは、亜鉛とセットで働きます。

亜鉛は、細胞を分裂させて増やす係。
ビタミンAは、増えた細胞を仕上げる係(分化)。

粘土でたとえると…
亜鉛が粘土を取り分けて、ビタミンAが形を整える。

どちらかが欠けても、体はうまくつくり直せません。
亜鉛については、以前の記事で詳しく書いています。

ビタミンAの多い食品

動物性(ビタミンAそのもの)

  • 鶏レバー 80g:11,200μg
  • 豚レバー 80g:10,400μg
  • あんこうのきも 40g:3,320μg
  • うなぎのかば焼き 100g:1,500μg
  • ぎんだら 100g:1,500μg
  • ほたるいか 50g:750μg
  • 卵 1個(50g):105μg

植物性(体の中でビタミンAに変えて使う量)

  • モロヘイヤ 70g:588μg
  • にんじん 50g:360μg
  • 春菊 70g:266μg
  • ほうれん草 70g:245μg
  • 小松菜 70g:182μg
  • かぼちゃ 70g:147μg

(成人の推奨量は、1日650〜900μg。年齢と性別で変わります)