朝の光が差し込む寝室と、枕元の目覚まし時計・カップ・おにぎりの水彩イラスト

目覚ましが鳴っても、体が起きない。
やっと起きても、午前中は頭がぼんやりしている。

なのに、夕方になると元気が出てくる。
夜は目が冴えて、なかなか眠れない。

こんなこと、ありませんか。

「夜型なだけ」と思いますよね。
そういう面もあると思います。

でも、それだけじゃないかも…

今日は、副腎(ふくじん)の話を2回に分けてお届けします。
前編は、体の中で何が起きているのか。

副腎は、ストレスに応える臓器

副腎は、腎臓の上に乗っている、重さ4〜5gほどの小さな臓器です。

ここで作られるのが、コルチゾールです。

コルチゾールとは、ストレスに立ち向かうためのホルモン。

血糖値を上げて、エネルギーを用意する。
そのために、筋肉のタンパク質を分解して糖に作り変えることもある。
炎症を抑える。

体が「さあ、動くぞ」という状態を作る「がんばるホルモン」、ということですね。

副腎では、アドレナリンも作られます。
こちらは「戦うか逃げるか」の場面で一気に出る、瞬発力のホルモンです。

コルチゾールは、じわじわ長く効く。
アドレナリンは、一瞬で強く効く。

副腎は、ストレスに対抗するために、この2つのホルモンを使い分けています。

朝、体を起こしているのもコルチゾール

コルチゾールは、朝にいちばん多く出て、夜に向かって下がっていきます。

朝に多く出るから、目が覚める。
夜になると少なくなるから、眠くなる。

「朝にスパッと起きて、夜に自然と眠くなる」

このリズムの一部を、コルチゾールが作っています。

では、このリズムが崩れたら…

朝に十分出ないと、目覚ましが鳴っても動けない。
夜になっても下がらないと、目が冴えて眠れない。

こういうことが起こります。

コルチゾールの1日の流れ:ふだんのリズムは朝に高く夜に下がる。乱れたリズムは朝に出ず、夜に下がらない

こうした状態を、分子栄養学では「副腎疲労」と呼んでいます。

副腎疲労とは、コルチゾールの出方が乱れた状態。

こんなサイン、ありませんか

講座で使っているチェック項目から、いくつか挙げます。

  • 寝ても疲れが取れない
  • 休日は何もしたくない
  • 甘いもの、塩辛いものが無性に欲しい
  • コーヒーが手放せない
  • ささいなことでイライラする
  • よく風邪をひく
  • 集中力や記憶力が落ちた
  • 何事も面倒くさい
  • 人に会うのは億劫だ

いくつも重なっているときは、コルチゾールのリズムを疑ってみる。
コルチゾールが十分に出なくなり、頑張りがきかなくなっているサインかもしれません。

副腎疲労は、医学の病名ではない

「副腎疲労」は、正式な病名ではありません。
通称です。

ストレスが続いて、疲れ・眠り・気分・体調が乱れる。
こうした状態は、「HPA軸の乱れ」として説明されることがあります。

HPA軸とは、脳から副腎へ、指令が伝わる流れのこと。
脳の視床下部から下垂体へ、下垂体から副腎へと伝わります。

つまり、副腎だけの問題ではなく、脳から副腎への連携が乱れている状態です。

HPA軸:視床下部が指令を出し、下垂体が副腎へ伝え、副腎がコルチゾールを出す。足りたら脳に知らせる

3つの段階で考える

分子栄養学では、副腎疲労を3つの段階で考えます。
ストレス研究で知られる、セリエという学者の考え方がもとになっています。

ステージ1:出しすぎている時期

ストレスが続き、コルチゾールがたくさん出ています。
本来なら夕方以降には分泌が減るはずなのに、ずっと出っ放し…
無理がきいて、あまり眠くならず、お腹も減らない。
本人は「頑張れている」と感じていることが多いようです。

でも、HPA軸には負担がかかっています。
やがて、ここが乱れ始めます。

ステージ2:リズムが崩れる時期

出し続けたコルチゾールが、少しずつ出せなくなってきます。
すると、頑張りがきかなくなってきます。

その分を、アドレナリンで補うようになる…
じわじわ効くはずのところを、瞬発力で埋めている状態です。

ただ、アドレナリンは自律神経への刺激がとても強いホルモンです。
使い続けるうちに、体も心もクタクタになっていきます。

朝が弱く、夕方からは多少元気になる。
外ではいつもどおりにふるまえても、家に帰ると、ぐったりして動けない。

動悸や不安、寝つきの悪さも出てきます。

朝起きられない、というのは、ステージ2あたりでよく出てくるサインです。

ステージ3:出なくなる時期

コルチゾールが、ぐっと減ります。

起き上がれない、頑張ろうにも頑張れない。
体も心も鉛のように重たく、身動きが取れなくなる。

慢性疲労の、ひどい状態です。
ここまで来ると、回復には相当な時間がかかります。

副腎疲労の3つの段階(イメージ図):ステージ1はコルチゾールもアドレナリンも出しすぎ、ステージ2はコルチゾールが少し減りアドレナリンで補う、ステージ3はコルチゾールが出なくなりアドレナリンは高いまま

後編では

コルチゾールのリズムは、なぜ乱れるのか。
そして、何から整えていけばいいのか。
後編で、そのお話をします。

朝起きられない理由は、副腎だけではありません。
鉄が足りない、甲状腺の働きが落ちている、ということもあります。