副腎疲労、何から整えるか(後編)

前編では、朝起きられない理由のひとつとして、コルチゾールのリズムのお話をしました。
コルチゾールは、朝に多く出て、体を起こしてくれます。
夜は出る量が少なくなり、眠気の邪魔をしなくなります。
このリズムが乱れた状態を、分子栄養学では副腎疲労と呼んでいます。
今日は、なぜ乱れるのか、何から整えるか、です。
副腎を呼び出すもの
副腎疲労の原因は、ストレス。
と言うと…
仕事や人間関係を思い浮かべますよね。
でも、体にとってのストレスは、それだけではありません。
- 食事を抜く、量が少ない
- 甘いもので、血糖値が上がり下がりする
- 睡眠が足りない
- 歯周病や胃腸炎、皮膚炎など、体のどこかにくすぶる炎症がある
どれも、コルチゾールの出番を増やします。
呼び出される回数が多いほど、リズムが乱れやすくなる、と考えます。

たとえば、血糖値。
食事の間があきすぎて血糖値が下がると…
体は危ないと判断して、コルチゾールとアドレナリンで血糖値を引き上げます。
朝ごはんを抜く、昼を軽く済ませる、お腹がすいたまま夕方まで動く。
そのたびに、副腎が呼び出されているわけです。
睡眠も同じ。
睡眠を削った翌日は、夜のコルチゾールが4割ほど高くなった、という研究があります。
夜ふかしをすると、次の夜も眠りにくくなる…
寝る時間と起きる時間がそろうと、リズムも戻りやすくなります。
それから、炎症。
コルチゾールには、炎症をしずめる働きがあります。
体のどこかで炎症が続いていると…
その火消しのために、コルチゾールが出続けることになります。
整える順番
講座でお伝えしている順番は、こうです。
- 睡眠が、いちばん大事
- 食事は、欠かせない土台
- 運動は、エネルギーが戻ってきてから
- 炎症があれば、歯科や消化器内科、皮膚科で見てもらう
運動が後ろにあるのは、意外かもしれません。
でも、運動も体にとってはストレスのひとつです。
コルチゾールが足りないときに頑張ると、かえって消耗することがあります。
今回は、この中から、毎日の食事でできることを中心にお伝えします。
食事で整える
食事は「副腎を呼び出す回数を減らす」ことを考えます。
1. 起きて1時間以内に、朝ごはんを食べる
朝は、夜のあいだ何も食べていない状態。
ここで食べないと、血糖値を保つために、また副腎が働くことになります。
食欲がなければ、バナナや、小さなおにぎり1つからで大丈夫です。
2. ごはんを、ちゃんと食べる
講座でお伝えしている目安は、1日400g〜450gほど。
お茶碗に軽く3杯。
目分量だと、思ったより少なかったり、多かったりします。
一度、はかりで量ってみると分かりやすいですね。
3. 間に、小さく食べる
夕方にガクッとエネルギーが切れる方は、その前の15時ごろに。
夜中に目が覚める方は、寝る前に。
補食には、こんなものが向いています。
- 小さなおにぎり、甘栗、ふかしたかぼちゃ
- ゆで卵、ちくわ
- 骨付き肉をコトコト煮たスープ
つらいときほど回数を増やし、良くなってきたら減らしていきます。
ただ、補食も食べすぎれば、血糖値を上げる側に回ります。
症状がきつい人ほど、「小さく」「こまめに」がポイントです。

4. タンパク質を満たす
コルチゾールは、筋肉のタンパク質を分解して糖を作ります。
タンパク質が足りていないと…
コルチゾールが出るたびに、その分が体から削られていきます。
肉、魚、卵、大豆製品を、毎食少しずつ。
消化に自信がない方は、ひき肉がおすすめです。
骨付き肉をよく煮込んだスープもいいですね。
魚は、肉よりも消化にやさしい食材。
魚も、積極的に取り入れましょう。
5. 砂糖を減らす
砂糖は、血糖値を一気に上げます。
すると、インスリン(血糖値を下げるホルモン)がたくさん出る。
今度は、一気に下がる…
下がりすぎたところで、副腎の出番。
アドレナリンやコルチゾールを出して、血糖値を引き上げます。
血糖値が上がりやすい食事のあとを調べた研究があります。
数時間後には血糖値が下がり、アドレナリンが高くなっていました。
疲れて、甘いものに手が伸びる。
少し楽になって、しばらくすると、また欲しくなる…
このくり返しが、副腎を休ませてくれません。
砂糖を減らすのは、血糖値の乱高下で、副腎を何度も呼び出してしまうから。

講座では、砂糖は極力減らすようにお伝えしています。
減らし方は、こんな順番がやりやすいと思います。
- まず、甘い飲み物から(清涼飲料水、加糖の缶コーヒー、ジュース)
- 補食を、甘いお菓子から、おにぎりや甘栗に置き換える
- 甘いものを食べるなら、空腹のときより、食後に少し
- 原材料の最初のほうに「砂糖」「果糖ぶどう糖液糖」がある食品は、選ばない
原材料は、使われている量の多い順に書かれています。
最初のほうにあるほど、砂糖が多く入っているということです。
6. カフェインを減らす
カフェインも、コルチゾールを押し上げます。
とくに気をつけたいのが、空腹のとき。
血糖値が下がっているところにカフェインが入ると…
アドレナリンの反応が、強まるようです。
飲むなら、食事のあとにしましょう。
コーヒーで出す元気は、明日の元気を前借りしているようなものです。
コーヒーの量を、減らしていきましょう。
ただ、カフェインをいきなり大きく減らすと…
離脱症状が出ることがあります。
眠気、頭痛、だるさで、日中に動けなくなることもあります。
日常生活に差し支えが出ないように、時間をかけて少しずつ減らしてください。
回復は、一直線ではない
良くなってきても、すぐにアクセルを踏まない。
調子のいい状態が2〜4週続いてから、予定や運動を少し増やす。
寝ても疲れが取れない、朝がまたつらい、甘いものが欲しくなる…
こういうサインが戻ってきたら、一段戻します。
それくらいの歩みで、ちょうどいいと考えます。
なお、こんなときは、副腎そのものの病気のことがあります。
- 体重が減り続ける
- 肌や歯ぐきが黒っぽくなる
- 立ちくらみがひどい
自己判断で済ませず、医療機関に相談してください。
明日の朝からなら
起きたら、小さなおにぎりを1つ。
15時に、ゆで卵を1つ。
コーヒーを、1杯減らす。
このあたりから始めてみると…
朝の体が、少し変わってくるかもしれません。

